早蕨の萌え出づる春になりぬれば
野辺の霞もたなびきにけり
- 歌の意味
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早蕨が芽を出す春になったので、野辺の霞もたなびいたことだ。
- 鑑賞
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春歌 44
詞書「早蕨」
早蕨が芽吹く春になり、野辺に霞がたなびく景を詠む。足もとの小さな芽吹きから広い野辺の霞へと視線を広げ、春の深まりをのびやかに捉えている。賀茂真淵は下の句が後の世の詠みぶりだと評している。
類従本では詞書を「春の哥」とする。上の句は『万葉集』の志貴皇子の「石走る垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも」の下の句を踏まえている。
初句「早蕨の」は、芽を出したばかりの蕨を示す。
二句「萌え出づる春に」は八音の字余りで、志貴皇子の歌の言葉をそのまま用いている。
三句「なりぬれば」は、完了の「ぬ」の已然形に「ば」が付いた確定条件で、春になったのでの意である。
四句「野辺の霞も」の「も」は、早蕨だけでなく霞もの意を添える。本巻の第十首から第十二首の霞の歌を思い起こさせる。
結句「たなびきにけり」の「けり」は詠嘆で、霞の広がる景への感動を表す。前歌の第四十二首の「萌え出でにけり」と「萌え」の語を共有し、芽吹きの歌が続いている。
さわらび:芽を出したばかりの蕨
もえいづ:芽が出る、芽吹く
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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浅緑染めて掛けたる青柳の 糸に玉貫く春雨ぞ降る
- 次の歌
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桜花散らまく惜しみうちひさす 宮路の人ぞとのゐせりける