- 歌の意味
- 雨が降るからと桜の木陰に立ち隠れると、山桜の花のしずくにしっとり濡れてしまったことだ。
- 鑑賞
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春歌 53
詞書「雨中桜」
雨を避けて山桜の木陰に入ったところ、かえって花からしたたるしずくに濡れてしまったと詠む。雨宿りのつもりが花の雫に濡れるという軽い興趣に、花の下にいる喜びがにじむ。賀茂真淵は下の句が後の世の詠みぶりだと評している。
初句「雨降ると」は、雨が降るのでと思っての意である。
二句「立ち隠るれば」は、木陰に立って身を隠すとの意で、雨宿りの動作を示す。
三句「山桜」は、身を寄せた木を示す。
四句「花のしづくに」は、花からしたたる雨のしずくで、雨と花とを結びつけている。
結句「そぼちぬるかな」の「そぼつ」はしっとりと濡れることで、本巻の第二十一首でも用いられた語である。「かな」は詠嘆を表す。
そぼつ:雨などにしっとりと濡れる
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 葛城や高間の桜眺むれば 夕居る雲に春雨ぞ降る
- 次の歌
- 今日もまた花に暮らしつ春雨の 露の宿りを我に貸さなむ