- 歌の意味
- 道が遠いので、今日は山を越えきれないうちに日が暮れてしまった。山桜よ、花の陰の宿を私に貸してほしい。
- 鑑賞
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春歌 55
詞書「山路夕花」
道のりが遠く、山を越えきれないうちに日が暮れてしまった旅人が、山桜に花の陰を一夜の宿として貸してほしいと願う歌である。夕暮れの山路で花のもとに宿りたいという、旅情と花への思いを重ねている。賀茂真淵は四句が後の世の詠みぶりだと評している。
初句「道遠み」は「形容詞の語幹+み」の形で、道が遠いのでと理由を表す。
二句「今日越え暮れぬ」は、山を越えるうちに日が暮れてしまったの意で、ここで句切れとなる。
三句「山桜」は呼びかけの相手である。
四句「花の宿りを」は、花の陰を宿とすることをいい、前歌の第五十四首の「露の宿り」と対応する。
結句「我に貸さなむ」は前歌と同じ結句で、他への願望を表す「なむ」で結ぶ。
こえくる:山を越えて行くうちに日が暮れる
やどり:宿る所、仮の宿
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 今日もまた花に暮らしつ春雨の 露の宿りを我に貸さなむ
- 次の歌
- 時の間と思ひて来しを山里に 花見る見ると長居しぬべし