時の間と思ひて来しを山里に
花見る見ると長居しぬべし
- 歌の意味
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ほんのしばらくの間と思って来たのに、山里で花を見ては見てとしているうちに、きっと長居をしてしまうだろう。
- 鑑賞
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春歌 56
詞書「屏風絵に山家に花見る所」
屏風に描かれた山の住まいで花を見る場面に寄せ、ほんの少しのつもりで来たのに、花を見続けているうちに長居してしまいそうだと詠む。絵の中の人物の心になって、花の魅力に引き留められる思いを表す。賀茂真淵は「中さだ」の歌の中では少しよいと評している。
類従本では詞書を「山家に花見るところ」とする。底本の初句は一部の文字が読み取りにくく、通行の本文により「時の間と」とした。
初句「時の間と」は、ほんのわずかの間と思っての意である。
二句「思ひて来しを」の「を」は逆接で、そう思って来たのにの意となる。
三句「山里に」は、屏風絵の山家を示す。
四句「花見る見ると」は同じ語を重ねて、見続けるさまを表す。
結句「長居しぬべし」の「ぬべし」は、きっと〜してしまうだろうの意である。本巻の第四十八首の山守が花に飽きないさまに通じ、花のもとを去りがたい心を詠む。
ときのま:ほんのわずかの間
ながゐ:同じ所に長くとどまること
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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道遠み今日越え暮れぬ山桜 花の宿りを我に貸さなむ
- 次の歌
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桜花咲き散る見れば山里に 我ぞ多くの春は経にける