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木のもとに宿りをすれば片敷きの
わが衣手に花は散りつつ

歌の意味
木の下に宿りをすると、片袖だけを敷いて独り寝る私の袖に、花が散りかかり続けている。
鑑賞
春歌 61

詞書は前の歌に続き「屏風の絵に旅人あまた花の下に伏せる所」
 木の下で旅寝をすると、独り寝のために片方だけ敷いた袖に、桜の花が絶え間なく散りかかると詠む。旅の独り寝の寂しさと、散る花の美しさとが重なり合う情景である。賀茂真淵は二重の合点を付して高く評価している。

 初句「木のもとに」は、前歌の第六十首と同じ詠み出しである。
 二句「宿りをすれば」は、宿りをするとの意で、前歌の「宿りはすべし」の決意が実行に移されている。
 三句「片敷きの」は、自分の衣の袖の片方だけを敷いて独り寝ることで、旅の独り寝の寂しさを表す。
 四句「わが衣手に」は、花の散りかかる袖を示す。次歌の第六十二首でも同じ句が用いられる。
 結句「花は散りつつ」は「つつ」止めで、花が散り続けるさまを余情として残す。

かたしく:自分の衣の袖の片方だけを敷いて独り寝る
ころもで:袖
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
木のもとに宿りはすべし桜花 散らまく惜しみ旅ならなくに
次の歌
木のもとの花の下臥し夜ごろ経て わが衣手に月ぞ馴れぬる