里は荒れぬ志賀の花園そのかみの
昔の君や恋しかるらむ
- 歌の意味
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里は荒れてしまった。志賀の花園は、その昔の君が恋しいのだろうか。
- 鑑賞
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春歌 64
詞書は前の歌に続き「故郷花」
かつて天智天皇の大津宮が置かれた志賀の都の跡を思い、荒れた里に咲く花園の花が、その昔の君を恋しく思っているのだろうかと詠む。花に懐旧の心を託し、古都の栄枯への感慨を表した歌である。
志賀の旧都の荒廃と花とを取り合わせる趣向は、『千載和歌集』の平忠度の「さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな」にも見えるものである。
初句「里は荒れぬ」は六音の字余りで、完了の「ぬ」で言い切り、ここで句切れとなる。
二句「志賀の花園」は、近江国志賀の旧都の跡に咲く花の園を示す。本巻の第九十首でも志賀の都の花が詠まれる。
三句「そのかみの」は、その昔のの意である。
四句「昔の君や」は、大津宮を営んだ天智天皇を思わせ、「や」は疑問の係助詞である。
結句「恋しかるらむ」は「や」の結びとして推量「らむ」の連体形で結ぶ。前歌の第六十三首が花のあるじの交代を詠んだのを受け、ここでは花が昔の君を慕うと詠んでいる。
そのかみ:その昔、当時
はなぞの:花の咲く園
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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尋ねても誰にか問はむ故郷の 花も昔の主ならねば
- 次の歌
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たづね見るかひはまことにあふ坂の 関路に匂ふ花にぞありける