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たづね見るかひはまことにあふ坂の
関路に匂ふ花にぞありける

歌の意味
訪ねて見に来たかいは、まことに逢坂の関路に美しく咲く花にあったのだ。
鑑賞
春歌 65

詞書「関路花」
 逢坂の関へ通じる道に咲き匂う花を訪ねて見たことで、来たかいがあったと喜ぶ歌である。「逢ふ」の名を持つ関で花に逢えたという思いがこめられている。賀茂真淵は、初句と二句は後の世の言い方で、「尋ねて見る」と言わなければ古い言い方ではないとしている。
 類従本では雑部に収め、定家所伝本では四句に異同がある。

 初句「たづね見る」は、訪ねて行って見るの意で、真淵が古い言い方でないと評した句である。
 二句「かひはまことに」は、来たかいは本当にの意である。
 三句「あふ坂の」は、近江と山城の境の逢坂に「逢ふ」を掛け、花に逢えたことを響かせる。
 四句「関路に匂ふ」の「関路」は関所へ通じる道で、「匂ふ」は花が美しく咲き映えるさまを表す。次歌の第六十六首も同じ句を用いる。
 結句「花にぞありける」は係助詞「ぞ」と「けり」の連体形による係り結びで、気づきの感動を表す。ここから逢坂の関を詠む歌が四首続く。

あふさか:近江と山城の境の逢坂と、「逢ふ」とを掛ける
せきぢ:関所へ通じる道
かひ:効果、しるし
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
里は荒れぬ志賀の花園そのかみの 昔の君や恋しかるらむ
次の歌
名にし負はばいざ尋ね見むあふ坂の 関路に匂ふ花はありやと