- 歌の意味
- 山桜は木々の梢に咲いているのを見たばかりなのに、今は岩間を流れる水の泡となってしまった。
- 鑑賞
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春歌 78
詞書「水辺落花」
つい先ほどまで木々の梢に咲いていた山桜が、散って岩間を流れる水の泡となってしまったと詠む。花の命のはかなさを、梢から水の泡へという変化の中に捉え、無常の思いを重ねている。
類従本と定家所伝本では四句に異同がある。
初句「山桜」は、題の落花を示す。
二句「木々の梢に」は、花が咲いていた高い枝先を示す。
三句「見しものを」の「ものを」は逆接で、見たのにの意となる。
四句「岩間の水に」は、岩と岩のすき間を流れる水を示し、梢という高い所から水という低い所への落差を表す。
結句「泡となりぬる」は完了「ぬ」の連体形で結ぶ連体止めで、詠嘆の余情を残す。次歌の第七十九首でも散る花が泡に見立てられる。
いはま:岩と岩とのすき間
こずゑ:木の枝の先
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 山風の桜吹きまき散る花の 乱れて見ゆる志賀の浦波
- 次の歌
- 行く水に風の吹き入るる桜花 流れて消えぬ泡かとぞ見る