咲けばかつうつろふ山の桜花
花のあたりに風な吹きそも
- 歌の意味
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咲くとすぐにもう散り始める山の桜の花よ。風よ、どうか花のあたりには吹いてくれるな。
- 鑑賞
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春歌 93
詞書は前の歌に続き「落花をよめる」
咲いたそばから散り始める山桜を惜しみ、せめて花のあたりには風よ吹かないでくれと願う歌である。花のはかなさと、それを少しでも長くとどめたいという切ない願いとが詠まれている。
類従本では「一本及印本所載歌」の部に収める。
初句「咲けば」は、咲くとの意の確定条件で、咲いたそばからという時の短さを導く。
二句「かつうつろふ」の「かつ」は一方ではすぐにの意、「うつろふ」は散る、色あせるの意である。
三句「山の桜花」は呼びかけの対象で、ここで句切れとなる。
四句「花のあたりに」は、風に吹いてほしくない場所を示す。
結句「風な吹きそも」は「な〜そ」の禁止に詠嘆の「も」が付いた形である。本巻の第三十六首の「いたくな降りそ」が雨に呼びかけたのに対し、ここでは風に呼びかけている。
うつろふ:花が散る、色あせる
あたり:付近、その辺り
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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春来れば糸賀の山の糸桜 風に乱れて花ぞ散りける
- 次の歌
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春深み花散りかかる山の井は 古き清水にかはづ鳴くなり