春深み花散りかかる山の井は
古き清水にかはづ鳴くなり
- 歌の意味
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春が深まったので、花が散りかかる山の泉では、古い清水で蛙が鳴いているようだ。
- 鑑賞
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春歌 94
詞書は前の歌に続き「落花をよめる」
春が深まり、花が散りかかる山の湧き水のほとりで、古い清水に蛙が鳴いているさまを詠む。落花と蛙の声という晩春の景物を取り合わせ、静かな山の泉の情景を描いている。賀茂真淵は、「山の井は」の「は」という助辞の使い方は並の人には言い得ないものだと評している。
類従本では三句と四句を「山の井のふりにし水に」とし、定家所伝本にも異同がある。底本の三句は一字が読み取りにくく、真淵の評によって「山の井は」とした。
初句「春深み」は、本巻の第九十一首と同じ詠み出しで、春が深まったのでと理由を表す。
二句「花散りかかる」は、花が散って降りかかるの意である。
三句「山の井は」は山中の湧き水を汲む所で、真淵が評した「は」によって場所を取り立てて示す。
四句「古き清水に」は、昔から湧き続ける清らかな水を示す。
結句「かはづ鳴くなり」の「なり」は音による推定で、蛙の声を聞き取っている。落花の歌の一群の中で、蛙の声という新たな晩春の景物を加えている。
やまのゐ:山中の湧き水を汲む所
かはづ:カジカガエル、また蛙
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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咲けばかつうつろふ山の桜花 花のあたりに風な吹きそも
- 次の歌
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道すがら散り交ふ花を雪と見て やすらふほどにこの日暮らしつ