難波潟漕ぎ出づる舟の目もはるに
霞に消えて帰る雁がね
- 歌の意味
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難波潟を漕ぎ出していく舟が見渡す限り遥かに遠ざかり、その彼方の春霞に消えて、北へ帰っていく雁よ。
- 鑑賞
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春歌 102
詞書「海辺春望」
難波潟から漕ぎ出していく舟を遥かに見送ると、その彼方の春霞の中に、北へ帰る雁が消えていくと詠む。海と空、舟と雁とが霞の中に溶け合う、広々とした春の眺望の歌である。賀茂真淵は三句がふさわしくないと評している。
類従本では雑部に収める。
初句「難波潟」は摂津国の難波の干潟で、歌枕である。
二句「漕ぎ出づる舟の」は八音の字余りで、沖へ漕ぎ出していく舟を示す。
三句「目もはるに」の「はる」は見渡す限り遥かなさまをいう「はる」と、季節の「春」とを掛ける掛詞で、真淵がふさわしくないと評した句である。
四句「霞に消えて」は、舟と雁とが霞の中に見えなくなるさまを示す。
結句「帰る雁がね」は体言止めで、春になって北へ帰る雁を示す。次歌の第百三首、次々歌の第百四首も帰る雁を詠み、帰雁の三首が続く。
はる:見渡す限り遥かな意の「はる」と、季節の「春」とを掛ける
かりがね:雁、また雁の鳴き声
なにはがた:摂津国難波の干潟
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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住吉の松の木隠れ行く月の 朧に霞む春の夜の空
- 次の歌
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眺めつつ思ふも悲し帰る雁 行くらむ方の夕暮の空