- 歌の意味
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眺めながら思うのも悲しい。北へ帰る雁が行くであろう方角の、夕暮れの空は。
- 鑑賞
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春歌 103
詞書「きさらぎの二十日あまりのほどにやありけむ北向きの縁に立ち出でて夕暮の空を眺めひとりをるに雁の鳴くを聞きてよめる」
二月二十日過ぎの頃、北向きの縁側に一人立って夕暮れの空を眺めていると、北へ帰る雁の鳴き声が聞こえた、その時の心を詠んだ歌である。雁の去っていく方角の夕空を眺めて物思いにふける、孤独で哀切な心情が表れている。賀茂真淵は詞書について、「北の簀子に立ち出でて夕べの空のあやしきに向かひをるに」とあるべきだと述べている。
初句「眺めつつ」は、物思いにふけりながら見つめ続けるの意である。
二句「思ふも悲し」は、思うのも悲しいの意で、ここで句切れとなる。
三句「帰る雁」は、春になって北へ帰る雁で、前歌の第百二首の「帰る雁がね」を受ける。
四句「行くらむ方の」の「らむ」は現在推量で、雁が今向かっているであろう方角を示す。詞書の「北向きの縁」と呼応する。
結句「夕暮の空」は体言止めで、倒置により悲しみの対象を最後に示す。前歌が昼の海辺の雁を詠んだのに対し、ここでは夕暮れの雁を一人聞く寂しさを詠む。
えん:縁側
きさらぎ:陰暦二月
ながむ:物思いにふけりながら見つめる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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難波潟漕ぎ出づる舟の目もはるに 霞に消えて帰る雁がね
- 次の歌
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雁がねの帰る翼に香るなり 花を恨むる春の山風