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高円の尾上の雉朝な朝な
妻に恋ひつつ鳴く音悲しも

歌の意味
高円山の峰の雉が、毎朝毎朝、妻を恋い慕いながら鳴く声が悲しいことよ。
鑑賞
春歌 106

詞書「雉」
 高円山の峰で、雄の雉が毎朝妻を恋い慕って鳴く声を、悲しいものとして聞いた歌である。妻を求める鳥の声に人の恋の切なさを重ね、万葉集ゆかりの地名と言葉で素朴に詠んでいる。
 底本の結句は一字が読み取りにくく、通行の本文により「鳴く音悲しも」とした。高円山は奈良の東にあり、『万葉集』にしばしば詠まれた地である。

 初句「高円の」は大和国の高円山で、万葉集ゆかりの地名である。
 二句「尾上の雉」の「尾上」は山の峰、「雉」は雉の古名である。
 三句「朝な朝な」は六音の字余りで、毎朝毎朝の意である。次歌の第百七首の結句にも同じ語が用いられる。
 四句「妻に恋ひつつ」の「つつ」は反復継続で、妻を恋い続けるさまを示す。
 結句「鳴く音悲しも」の「も」は詠嘆の終助詞で、万葉集に多い結び方である。

をのへ:山の頂、峰
きぎす:雉の古名
たかまど:大和国の高円山
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
あをによし奈良の山なる呼子鳥 いたくな鳴きそ君も来なくに
次の歌
おのが妻恋ひわびにけり春の野に あさる雉の朝な朝な鳴く