- 歌の意味
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引き返してでも見てから渡ろう、大井川の。川辺の松にかかる藤の花房を。
- 鑑賞
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春歌 109
詞書「まと弓の風流に大井川をつくりて松に藤のかかれる所を」
的弓の催しの飾り物として大井川をかたどり、松に藤がかかっている所を作ったものに寄せた歌である。川辺の松にかかる見事な藤の花房を、引き返してでももう一度見てから川を渡ろうと詠み、作り物の景を実景のように愛でている。賀茂真淵は合点を付している。
類従本の詞書には異同と脱字があり、類従本と定家所伝本では二句に異同がある。
初句「立ち返り」は引き返しての意で、「藤波」の「波」と縁語になる。
二句「見ても渡らむ」の「む」は意志で、見てから渡ろうの意となる。
三句「大井川」は山城国の大井川で、詞書の作り物の題材である。
四句「川辺の松に」は、藤のからみつく松を示す。
結句「かかる藤波」は体言止めで、藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえる。ここから藤の歌が四首続き、次歌の第百十首も同じ「立ち返り」「藤波」を用いている。
まとゆみ:的を射る弓の競技
ふりう:趣向をこらした飾り物
ふぢなみ:藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえた語
たちかへる:引き返す
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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浅茅原行方も知らぬ野辺に出でて 故郷人は菫摘みけり
- 次の歌
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田子の浦の岸の藤波立ち返り 折らでは行かじ袖は濡るとも