いとはやも暮れぬる春かわが宿の
池の藤波うつろはぬまに
- 歌の意味
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なんと早くも暮れてしまう春であることか。我が家の池の藤の花房が、まだ色あせないうちに。
- 鑑賞
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春歌 111
詞書「池辺藤花」
我が家の池のほとりの藤がまだ盛りで色あせないうちに、春が早くも暮れてしまうことを惜しむ歌である。藤の花の盛りと春の終わりとのずれに、過ぎゆく春への惜別の情を込めている。賀茂真淵は合点を付している。
この歌は『続後撰和歌集』に入集している。類従本では詞書を「池のほとりの藤の花」とする。
初句「いとはやも」の「いと」は非常に、「も」は詠嘆で、なんと早くもの意となる。
二句「暮れぬる春か」の「か」は詠嘆で、春の暮れを惜しみ、ここで句切れとなる。
三句「わが宿の」は作者の住まいを示し、本巻の第二十五首、第三十六首、第三十八首と同じ詠み出しを三句に置いている。
四句「池の藤波」は池に影を映す藤の花房で、「波」は池の縁語ともなる。
結句「うつろはぬまに」は、色あせないうちにの意で、倒置となっている。本巻の第三十六首が梅の散るのを惜しんだのに対し、ここでは花よりも先に春が去ることを惜しんでいる。
ふぢなみ:藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえた語
うつろふ:花が散る、色あせる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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田子の浦の岸の藤波立ち返り 折らでは行かじ袖は濡るとも
- 次の歌
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故郷の池の藤波誰植ゑて 昔忘れぬ形見なるらむ