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立ち返り見れども飽かず山吹の
花散る岸の春の川波

歌の意味
何度引き返して見ても見飽きない。山吹の花が散る岸辺に寄せる、春の川波は。
鑑賞
春歌 118

詞書は前の歌に続き「水底款冬といふ事を人々あまたつかうまつらせしついでに」
 山吹の花が散る岸辺に寄せる春の川波を、何度引き返して見ても見飽きないと詠む。川波に映り、また浮かぶ山吹の美しさに心を奪われ、立ち去りがたい思いを表している。
 類従本では「一本及印本所載歌」の部に収める。

 初句「立ち返り」は、何度も引き返しての意で、結句の「川波」の「波」と縁語になる。本巻の第百九首、第百十首と同じ語である。
 二句「見れども飽かず」は、見ても見飽きないの意で、ここで句切れとなる。
 三句「山吹の」は、題の款冬を示す。
 四句「花散る岸の」は、山吹の花が散りかかる岸辺を示す。
 結句「春の川波」は体言止めで、題の「水底款冬」のとおり、水に映り浮かぶ山吹を波の景として捉えている。

たちかへる:引き返す、繰り返す
かはなみ:川の波
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
声高み蛙鳴くなり井手の川 岸の山吹今は散るらむ
次の歌
今幾日春しなければ春雨に 濡るとも折らむ山吹の花