- 歌の意味
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もうあと幾日も春は残っていないのだから、春雨に濡れようとも折り取ろう、山吹の花を。
- 鑑賞
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春歌 119
詞書「款冬を折りてよめる」
春も残りわずかとなったので、たとえ春雨に濡れても山吹の花を折り取ろうと詠む歌である。去りゆく春を惜しみ、その名残を手もとにとどめたいという切実な思いが表れている。
この歌は『古今和歌集』の在原業平の「濡れつつぞしひて折りつる年のうちに春はいくかもあらじと思へば」を踏まえている。類従本と定家所伝本では三句に異同がある。底本の初句と三句は一部の文字が読み取りにくく、和歌データベースの本文により「今幾日」「春雨に」とした。
初句「今幾日」は、もうあと幾日の意で、春の残りの少なさを示す。
二句「春しなければ」の「し」は強意で、春が幾日も残っていないのでの意となる。
三句「春雨に」は、花を折る妨げとなる雨を示す。
四句「濡るとも折らむ」の「とも」は逆接の仮定、「む」は意志で、たとえ濡れても折ろうと決め、ここで句切れとなる。
結句「山吹の花」は体言止めで、倒置により折る対象を最後に示す。本巻の第四十六首の「折りてかざさむ」と同じく、花を折ることで春を惜しんでいる。
いくか:幾日
をる:花の枝を折り取る
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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立ち返り見れども飽かず山吹の 花散る岸の春の川波
- 次の歌
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わが宿の八重の山吹露を重み うち払ふ袖のそぼちぬるかな