朝清め格子なあけそ行く春を
わが閨のうちにしばしとどめむ
- 歌の意味
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朝の掃除をする者よ、格子を開けてくれるな。過ぎてゆく春を、私の寝室の中にしばらくとどめておこう。
- 鑑賞
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春歌 129
詞書「三月尽」
春の最後の日である三月の晦日に、朝の掃除をする者に格子を開けるなと呼びかけ、去りゆく春を寝室の中にしばらく閉じ込めておこうと詠む。春を形あるもののように扱い、惜しむ心を機知に富んだ言い方で表した歌である。
類従本では「一本及印本所載歌」の部に収める。
初句「朝清め」は、朝の掃除、またそれをする者で、呼びかけの相手を示す。
二句「格子なあけそ」は「な〜そ」の禁止の形で、格子を開けるなの意となり、ここで句切れとなる。
三句「行く春を」は、過ぎ去っていく春で、前歌の第百二十八首の「行く春の」を受けている。
四句「わが閨のうちに」は八音の字余りで、自分の寝室の中を示す。
結句「しばしとどめむ」の「む」は意志で、春をしばらく引き留めようと決める。本巻の第六十七首の関守が花を「しばし留むる」ことができなかったのに対し、ここでは自ら春を留めようとしている。
あさぎよめ:朝の掃除、またそれをする者
かうし:細い木を縦横に組んだ戸
ねや:寝室
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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行く春の形見と思ふにあまつ空 有明の月は影も絶えにき
- 次の歌
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惜しむとも今宵明けなば明日よりは 花の袂を脱ぎや替へさむ