惜しむとも今宵明けなば明日よりは
花の袂を脱ぎや替へさむ
- 歌の意味
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どれほど惜しんでも、今夜が明けたならば、明日からは花の色の衣の袂を脱いで替えることになるのだろうか。
- 鑑賞
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春歌 130
詞書は前の歌に続き「三月尽」
どれほど春を惜しんでも、今夜が明ければ明日は四月一日の衣替えで、花の色の衣を脱ぎ替えねばならないのかと嘆く歌である。衣替えという宮廷の習わしを通して、春の終わりを惜しむ心を詠んでいる。賀茂真淵は、遍昭が「花の袂」と詠んだように色のある衣をいうのはよいが、桜色に染めた袂の意で「花の袂」というのは後の世の言い方だと評している。
類従本では結句を「ぬぎかへん」、定家所伝本では「ぬぎやかへむ」とする。
初句「惜しむとも」の「とも」は逆接の仮定で、どれほど惜しんでもの意である。
二句「今宵明けなば」は、今夜が明けたならばの意で、三月の晦日の夜であることを示す。
三句「明日よりは」は、四月一日からはの意で、夏の始まりを示す。
四句「花の袂を」は、花の色に染めた春の衣の袂で、真淵が後の世の言い方と評した句である。
結句「脱ぎや替へさむ」の「や」は疑問の係助詞で、推量の「む」の連体形で結ぶ。前歌の第百二十九首が春を閨にとどめようとしたのに対し、ここでは明日には衣を替えねばならない定めを受け入れようとしている。
たもと:袖、衣服
ぬぎかふ:衣を脱いで替える
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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朝清め格子なあけそ行く春を わが閨のうちにしばしとどめむ
- 次の歌
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聞かざりき弥生の山の郭公 春加はれる年にはありしか