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神祭る卯月になれば卯の花の
憂きことの葉の数やまさらむ

歌の意味
神を祭る卯月になると、卯の花の葉が茂るように、神に訴える憂いの言葉の数も増すのだろうか。
鑑賞
夏歌 137

詞書は前の歌に続き「卯花」
 神祭りの多い卯月に、卯の花の葉が茂るように、神へ訴える憂いの言葉が増えるのだろうかと詠んだ歌である。前歌に続いて卯の花から世の憂さへ思いを向けている。
 類従本ではこの歌を「一本及印本所載歌」の部に収める。なお参照した底本の本文では四句の頭の一字が読み取れず、前歌と同じく「卯の花の」から「憂き」を導く趣向と見て「う」を補って解した。

 初句「神祭る」は神を祭るの意で、卯月に賀茂の祭りなど神事が多いことを踏まえる。
 二句「卯月になれば」は、陰暦四月になるとの意で、「ば」は確定条件を表す。
 三句「卯の花の」は、「卯月」と「う」の音を重ね、さらに次の「憂き」を導く。前歌の第百三十六首の三句と同じ句であり、二首が卯の花の題のもとで対をなす。
 四句「憂きことの葉の」の「ことの葉」は、言葉の意と卯の花の葉を掛けた掛詞である。
 結句「数やまさらむ」の「や」は疑問の係助詞で、「む」は推量の助動詞の連体形として結ぶ。

うづき:陰暦四月
ことのは:言葉の意と、卯の花の葉の意を掛ける
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
わが宿の垣根に咲ける卯の花の 憂きことしげき世にこそありけれ
次の歌
五月待つ小田のますらをいとまなみ 堰き入る水に蛙鳴くなり