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五月闇小夜更けぬらし時鳥
神奈備山におのが妻呼ぶ

歌の意味
五月闇の夜はすっかり更けたらしい。ほととぎすが神奈備山で自分の妻を呼んで鳴いている。
鑑賞
夏歌 147

詞書は前の歌に続き「深夜郭公」
 五月闇の夜更けに、神奈備山でほととぎすが妻を呼んで鳴く声を聞き、夜が深まったことを知る歌である。前歌と同じ山と同じ趣向を、夜の更けゆく時の流れの中で詠み直している。
 類従本ではこの歌を「一本及印本所載歌」の部に収める。なお参照した底本の本文では二句に読み取れない字があり、字数から「小夜」と解した。

 初句「五月闇」は、前の二首と同じく「深夜郭公」の一連を貫く初句で、本歌がその三首目となる。
 二句「小夜更けぬらし」の「小夜」は夜のことで、「さ」は接頭語である。「らし」は根拠のある推定で、鳥の声を根拠に夜が更けたと推し量り、ここで句切れとなる。題の「深夜」を直接示す句である。
 三句「時鳥」は、推定の根拠となる声の主を示す。
 四句「神奈備山に」は前歌の第百四十六首の二句と同じ山で、二首が同じ舞台を共有している。
 結句「おのが妻呼ぶ」は、自分の妻を呼ぶの意で、前歌の「妻恋ひすらし」の推定を、本歌では妻を呼ぶ声として断定的に描いている。

さよ:夜。「さ」は接頭語
おの:自分、自身
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
五月闇神奈備山の時鳥 妻恋ひすらし鳴く音悲しも
次の歌
郭公鳴く声あやな五月闇 聞く人なしみ雨は降りつつ