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あしひきの山郭公深山出でて
夜深き月の影に鳴くなり

歌の意味
山ほととぎすが奥山を出て、夜更けの月の光の中で鳴いているようだ。
鑑賞
夏歌 150

詞書は前の歌に続き「郭公」
 奥山を出た山ほととぎすが、夜更けの月光の中で鳴く声を詠んだ歌である。深夜の月の明るさと鳥の声とを重ね合わせ、清らかな夏の夜の情景を描いている。
 この歌は『風雅和歌集』に入集している。賀茂真淵もこの歌に合点を付している。

 初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞で、前歌の第百四十九首と同じ初句である。
 二句「山郭公」も前歌と同じで、二首が同じ鳥を異なる景の中に置いている。
 三句「深山出でて」は、奥深い山を出ての意で字余りとなる。前歌の木隠れて見えない鳥に対し、本歌では山を出て姿を現す鳥として描かれる。
 四句「夜深き月の」は、夜更けの月をいう。次歌の第百五十一首も月とほととぎすを詠み、月の歌が続いている。
 結句「影に鳴くなり」の「影」は月の光のことで、「なり」は音による推定である。月の光の中に鳴く声を感じ取っている。

みやま:奥深い山
かげ:光。ここでは月の光
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
あしひきの山郭公木隠れて 目にこそ見えね音のさやけさ
次の歌
有明の月は入りぬる木の間より 山郭公鳴きて出づなり