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有明の月は入りぬる木の間より
山郭公鳴きて出づなり

歌の意味
有明の月が沈んでいった木の間から、山ほととぎすが鳴きながら出てくるようだ。
鑑賞
夏歌 151

詞書は前の歌に続き「郭公」
 明け方の月が沈んだ木の間から、入れ替わるように山ほととぎすが鳴きながら出てくる様子を詠んだ歌である。消えてゆく月と現れる鳥とを一つの木の間に重ね、夜明け前の移ろいを捉えている。
 なお参照した底本の本文では三句に読み取れない字があり、定家所伝本の「このまより」によって補った。

 初句「有明の」は、夜が明けても空に残る月をいう。前歌の「夜深き月」から時が進み、夜明け前の月となっている。
 二句「月は入りぬる」の「ぬる」は完了の助動詞の連体形で、月が沈んでしまったことを示す。前歌が月の光の中で鳴くほととぎすを詠んだのに対し、本歌では月が入った後に鳥が出てくる構図となっている。
 三句「木の間より」は、木々の間からの意で、月の沈んだ場所と鳥の現れる場所を一つに重ねている。
 四句「山郭公」は、前の二首から続く山のほととぎすである。
 結句「鳴きて出づなり」は、本巻の第百四十五首の結句と同じで、「なり」は音による推定である。

ありあけ:夜明け方まで空に月が残っていること、またその月
こま:木と木の間
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
あしひきの山郭公深山出でて 夜深き月の影に鳴くなり
次の歌
五月雨に夜の更けゆけば郭公 ひとり山辺を鳴きて過ぐなり