五月雨に夜の更けゆけば郭公
ひとり山辺を鳴きて過ぐなり
- 歌の意味
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五月雨の降るなかで夜が更けてゆくと、ほととぎすがただ一羽、山のあたりを鳴きながら過ぎてゆくようだ。
- 鑑賞
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夏歌 152
詞書は前の歌に続き「郭公」
五月雨の降り続く夜更けに、ほととぎすがただ一羽、山辺を鳴きながら過ぎてゆくのを聞いた歌である。雨の夜の静けさと、ひとり鳴いて過ぎる鳥の孤独とが重なり合っている。
類従本では、この歌から三首を「五月雨」の部に収める。なお参照した底本の本文では二句に読み取れない字があり、定家所伝本の「よのふけゆけば」によって補った。
初句「五月雨に」は、陰暦五月ごろの長雨をいう。次歌の第百五十三首、第百五十四首も「五月雨の」で始まり、五月雨とほととぎすの三首が続く。
二句「夜の更けゆけば」の「ば」は已然形に付いて、夜が更けてゆくと、という時の流れを示す。
三句「郭公」は、雨の夜に声を響かせる鳥として据えられる。
四句「ひとり山辺を」の「ひとり」は、鳥がただ一羽であることを示し、本巻の第百四十八首の、雨の夜にひとり声を聞く作者の姿とも響き合う。
結句「鳴きて過ぐなり」の「なり」は音による推定で、声の移りゆきによって鳥が通り過ぎるのを知る。
さみだれ:陰暦五月ごろに降り続く長雨、梅雨
やまべ:山のあたり、山のほとり
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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有明の月は入りぬる木の間より 山郭公鳴きて出づなり
- 次の歌
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五月雨の露もまだ干ぬ奥山の 真木の葉隠れ鳴く郭公