古典和歌stream

玉くしげ箱根の山の郭公
向かふの里に朝な朝な鳴く

歌の意味
箱根の山のほととぎすは、向こうの里で毎朝鳴いている。
鑑賞
夏歌 156

詞書は前の歌に続き「郭公」
 箱根の山のほととぎすが、向こうの里で毎朝鳴いていると詠んだ歌である。鎌倉に住む作者にとって身近な東国の山を詠み込み、朝ごとに聞こえる鳥の声を素朴に描いている。
 類従本ではこの歌を「一本及印本所載歌」の部に収める。

 初句「玉くしげ」は、櫛を入れる箱の意から「箱」と同音の「箱根」にかかる枕詞である。
 二句「箱根の山の」は、相模と伊豆の境にある箱根山をいう。前の二首の大和の歌枕に対し、本歌では東国の山が詠まれている。
 三句「郭公」は、山の鳥として据えられる。
 四句「向かふの里に」は、山の向こう側の里にの意で、山と里との距離を示す。
 結句「朝な朝な鳴く」は、毎朝鳴くの意で字余りとなる。夜のほととぎすを詠んだ前の歌々に対し、本歌は朝の声を詠んでいる。

たまくしげ:櫛などを入れる美しい箱。「箱」と同音の語にかかる枕詞
あさなあさな:毎朝、朝ごと
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
葛城や高間の山のほととぎす 雲居のよそに鳴きわたるなり
次の歌
五月山木高き峰のほととぎす たそがれ時の空に鳴くなり