皆人の名をしも呼ぶか郭公
鳴くなる声の里をとよむる
- 歌の意味
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ほととぎすは人々みなの名を呼んでいるのだろうか。鳴く声が里じゅうに響きわたっている。
- 鑑賞
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夏歌 158
詞書は前の歌に続き「郭公」
ほととぎすの鳴き声があまりに里じゅうに響きわたるので、人々みなの名を呼んでいるのかと戯れて詠んだ歌である。鳥の声を人を呼ぶ声に見立て、里を満たすにぎやかな鳴き声を描いている。
底本の注記によれば、類従本と定家所伝本は二句に異同があり、定家所伝本は結句も字句が異なる。参照した底本の本文では二句と結句に読み取れない字があるため、定家所伝本の「なをしもよふか」「さとをとよむる」によって補った。
初句「皆人の」は、人々みなの意である。
二句「名をしも呼ぶか」の「しも」は強意、「か」は疑問を表し、ここで句切れとなる。
三句「郭公」は、呼ぶ声の主として据えられる。
四句「鳴くなる声の」の「なる」は音による推定の助動詞「なり」の連体形で、聞こえてくる声を示す。
結句「里をとよむる」は、里じゅうに響かせるの意である。本巻の第百五十二首でひとり山辺を過ぎていった声が、本歌では里を満たす声となっており、ひそやかな声と響きわたる声とが対照されている。
とよむ:鳴り響かせる、響きわたらせる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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五月山木高き峰のほととぎす たそがれ時の空に鳴くなり
- 次の歌
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郭公聞けども飽かず橘の 花散る里の五月雨のころ