五月山おぼつかなきを夕月夜
木隠れてのみ鹿や待つらむ
- 歌の意味
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五月の山はおぼつかなく暗いのに、夕月夜のもと、木陰に隠れてばかりで、狩人は鹿を待っているのだろうか。
- 鑑賞
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夏歌 165
詞書「照射」
夏の夜、山中で火をともして鹿をおびき寄せて射る照射の狩りを詠んだ歌である。暗くおぼつかない五月の山で、夕月のかすかな光のもと、木陰に身を潜めて鹿を待ち続ける狩人の姿を思いやっている。
類従本ではこの歌を「一本及印本所載歌」の部に収める。なお参照した底本の本文では三句の末に読み取れない字があり、字数と語の続きから「夕月夜」と解した。
初句「五月山」は、本巻の第百五十七首と同じ初句で、青葉の茂る五月の山をいう。
二句「おぼつかなきを」は、暗くてはっきりしないのにの意で、本巻の第百四十五首の「おぼつかなきに」と同じく五月の夜の暗さを示す。
三句「夕月夜」は、夕方に出ている月、またその夜をいう。
四句「木隠れてのみ」は、木陰に隠れてばかりの意で、獲物に気づかれぬよう身を潜める狩人の姿を示す。本巻の第百四十九首ではほととぎすが木隠れて見えなかったのに対し、本歌では待つ人の側が木隠れている。
結句「鹿や待つらむ」の「や」は疑問の係助詞で、現在推量の「らむ」の連体形で結ぶ。
ともし:夏の夜、山中で火をともして鹿をおびき寄せて射る狩り
ゆふづくよ:夕方に出ている月、またその月の出ている夜
こがくる:木の陰に隠れる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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五月雨は心あらなむ雲間より 出で来る月を待てば苦しも
- 次の歌
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ゆかしくば行きても見ませゆき島の 巌に生ふる撫子の花