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禊するかやの軒端に引く四手の
まつはれつきて夏をとどめむ

歌の意味
禊をする茅葺きの軒端に引き渡した四手のように、まつわりついて、去りゆく夏を引きとどめたいものだ。
鑑賞
夏歌 177

詞書は前の歌に続き「夏の暮によめる」
 禊の場の茅葺きの軒端に張り渡された四手に託して、去りゆく夏を引きとどめたいと願った歌である。風にまつわりつく四手のように、過ぎてゆく夏にすがりつきたい心を詠んでいる。
 類従本ではこの歌を「一本及印本所載歌」の部に収める。なお参照した底本の本文では二句に読み取れない字があり、字数から「の」を補って「かやの軒端に」と解した。

 初句「禊する」は前歌の第百七十六首と同じ初句で、六月祓の禊の場を示す。
 二句「かやの軒端に」は、茅で葺いた軒端にの意である。
 三句「引く四手の」は、注連縄などに垂らす四手を引き渡したさまをいい、ここまでが次の「まつはれつきて」を導く序詞となる。
 四句「まつはれつきて」は、からみつく、まといつくの意で、四手が風にまつわるさまと、夏にすがりつく心とを重ねている。
 結句「夏をとどめむ」の「む」は意志を表し、夏を引きとどめたいと結ぶ。前歌で暮れてしまった夏の日を、本歌ではなお引きとめようとする心が詠まれている。

かや:屋根を葺く草の総称
しで:注連縄や玉串などに垂らす紙や木綿
まつはる:からみつく、まつわる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
禊する川瀬に暮れぬ夏の日の 入相の鐘のその声により
次の歌
我が国の大和島根の神たちを 今日の禊に手向けつるかな