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あだ人のあだにある身のあだ事を
今日水無月の祓へ捨てつといふ

歌の意味
浮ついた人の、はかない身の上の浮ついた行いを、今日の水無月の祓で祓い捨てたというのだ。
鑑賞
夏歌 179

詞書は前の歌に続き「六月祓」
 浮ついた人の、はかない身の浮ついた行いも、今日の六月祓で祓い捨てたというと詠んだ歌である。「あだ」の語を三度重ねる軽妙な調子で、人の世の罪やけがれを祓い流す行事を描き、夏部の巻末を締めくくっている。
 類従本ではこの歌を雑部に収める。なお参照した底本の本文では四句が「けふ水無月」となっており、句の字数から「の」を補って解した。結句は字余りである。

 初句「あだ人の」は、浮ついた人、誠実でない人の意である。二句、三句とともに「あだ」の語を三度重ね、調子を整えている。
 二句「あだにある身の」は、はかない身の上のの意で、初句の「あだ」を異なる意味で重ねている。
 三句「あだ事を」は、浮ついた行い、むなしい事をいう。
 四句「今日水無月の」は、六月祓の当日であることを示し、前歌の第百七十八首の「今日の禊に」を受けている。
 結句「祓へ捨てつといふ」は字余りで、「つ」は完了、「いふ」は人がそう言うの意を表す。夏部巻頭の第百三十三首で春の衣を脱ぎ替えたのに対し、巻末では祓によって身の汚れを捨て去り、改めて新しい季節を迎える構図となっている。

あだびと:浮気な人、誠実でない人
あだごと:浮ついた行い、むなしい事
はらふ:罪やけがれを除き去る
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
我が国の大和島根の神たちを 今日の禊に手向けつるかな
次の歌
昨日こそ夏は暮れしか朝戸出の 衣手寒し秋の初風