- 歌の意味
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つい昨日、夏は暮れたばかりなのに、朝、戸を開けて外に出ると袖が寒い。秋の初風が吹いている。
- 鑑賞
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秋歌 180
詞書「七月一日の朝よめる」
陰暦七月一日、立秋の朝に詠んだ歌である。昨日までは夏だったのに、朝、戸口を出たとたん袖に寒さを覚え、それが秋の初風であると気づく。暦の上の季節の変わり目を、肌に感じる風の冷たさで確かめており、源実朝の家集『金槐和歌集』秋部の巻頭を飾る一首である。
この歌は『新続古今和歌集』に入集している。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。類従本では詞書を「七月一日の朝に」とし、定家所伝本では三句を「あさといでの」とする。なお参照した底本の本文では三句の末に欠字があり、字数から「の」を補って「朝戸出の」と解した。
初句「昨日こそ」の「こそ」は係助詞で、つい昨日のことだと強く示す。巻第二の第百七十四首が夏の最後の夜に秋の初風を夢の中で感じたのを受け、夏部の終わりと秋部の始まりがつながっている。
二句「夏は暮れしか」は「こそ」の結びで、過去の助動詞「き」の已然形「しか」で結び、逆接的に下へ続く。夏は暮れたばかりなのにの意となる。本巻巻末の第三百十一首が「秋ぞ暮れぬる」と結ぶのと、「暮れ」の語で巻頭と巻末が呼応している。
三句「朝戸出の」は、朝に戸を開けて出かけることをいう。
四句「衣手寒し」の「衣手」は袖のことで、袖に寒さを感じると言い切り、ここで句切れとなる。
結句「秋の初風」は体言止めで、秋の訪れを告げる最初の風を最後に示す。次歌の第百八十一首、第百八十二首も同じ結句「秋の初風」で結ばれ、巻頭に三首が並んでいる。
あさとで:朝、戸を開けて外へ出ること
ころもで:袖
はつかぜ:その季節に初めて吹く風
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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あだ人のあだにある身のあだ事を 今日水無月の祓へ捨てつといふ
- 次の歌
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眺むれば衣手寒し夕月夜 佐保の川原の秋の初風