- 歌の意味
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霧が立ちこめて、秋はまず空にやって来たらしい。吹上の浜の浦を吹く潮風よ。
- 鑑賞
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秋歌 183
詞書「海辺秋来」
紀伊国の歌枕、吹上の浜で、霧が立ちこめ潮風が吹くさまに、秋がまず空にやって来たらしいと感じ取った歌である。海辺の広い空と風によって、秋の到来を大きく捉えている。
類従本では詞書を「海辺秋来といふことを」とする。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。なお参照した底本の本文では三句の頭に欠字があり、定家所伝本の「きにけらし」によって補った。
初句「霧立ちて」は、霧が立ちこめての意で、秋の訪れの兆しを示す。
二句「秋こそ空に」の「こそ」は係助詞で、秋はまず空にと強く示す。
三句「来にけらし」は「来にけるらし」のつづまった形で、来たらしいと推し量り、「こそ」の結びとして推定の助動詞「らし」の已然形で結び、ここで句切れとなる。本巻では第百八十四首、第百八十五首、第百八十六首、第百八十九首と「秋は来にけり」の句が重ねられ、秋の到来を繰り返し確かめている。
四句「吹上の浜の」は、紀伊国の歌枕である吹上の浜をいい、字余りとなる。
結句「浦の潮風」は体言止めで、海辺を吹く風を最後に示す。巻頭からの「秋の初風」が、本歌では海辺の潮風に姿を変えている。
ふきあげのはま:紀伊国(今の和歌山市)の海岸。歌枕
しほかぜ:海から吹く、潮気を含んだ風
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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夕されば衣手涼し高円の 尾上の宮の秋の初風
- 次の歌
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うちはへて秋は来にけり紀の国や 由良の岬の海人のうけ縄