吹く風の涼しくもあるかおのづから
山の蝉鳴きて秋は来にけり
- 歌の意味
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吹く風のなんと涼しいことか。おのずから山の蝉が鳴いて、秋はやって来たのだ。
- 鑑賞
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秋歌 189
詞書「蝉の鳴くを聞きて」
吹く風の涼しさに驚き、山の蝉が自然と鳴き出したのを聞いて、秋が来たことを知った歌である。万葉風の力強い調べで、人の思いを越えて巡ってくる季節の確かさを詠んでいる。
類従本では詞書を「寒蝉啼」とし、類従本と定家所伝本では初句に異同がある。賀茂真淵はこの歌に二つの合点を付している。なお参照した底本の本文では初句の末に欠字があり、定家所伝本の「ふくかせの」によって補った。
初句「吹く風の」は、吹いてくる風のの意である。
二句「涼しくもあるか」は、なんと涼しいことかの意で、「か」は詠嘆を表し、字余りとなる。ここで句切れとなり、前歌の第百八十八首の「涼しくなりぬ」を受けている。
三句「おのづから」は、ひとりでに、自然との意で、人の思いとかかわりなく季節が巡るさまを示す。
四句「山の蝉鳴きて」は字余りで、山の蝉が鳴いての意である。前歌の「ひぐらし」を受け、題の蝉を詠む。
結句「秋は来にけり」は、本巻の第百八十五首、第百八十六首と同じ結句で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
おのづから:ひとりでに、自然と
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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今よりは涼しくなりぬひぐらしの 鳴く山陰の秋の夕風
- 次の歌
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事しげき世を逃れにし山里に いかで尋ねて秋の来つらむ