事しげき世を逃れにし山里に
いかで尋ねて秋の来つらむ
- 歌の意味
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わずらわしいことの多い世を逃れて住む山里に、どうやって探し当てて、秋はやって来たのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 190
詞書「山家秋思」
わずらわしい世間を逃れて隠れ住む山里にまで、どうやって探し当てて秋はやって来たのだろうかと詠んだ歌である。世を捨てた身にも季節だけは変わらず訪れることへの驚きと、秋のもの思いから逃れられない心が表れている。
類従本ではこの歌を雑部に収め、類従本と定家所伝本では四句に異同がある。なお参照した底本の本文では結句に欠字があり、字数と語の続きから「秋の来つらむ」と解した。
初句「事しげき」は、わずらわしいことが多いの意で、俗世のありさまを示す。
二句「世を逃れにし」の「にし」は完了の「ぬ」と過去の「き」で、世を逃れてしまったの意となる。
三句「山里に」は、世を逃れて住む山の中の里をいい、題の「山家」を表す。
四句「いかで尋ねて」の「いかで」は、どうやっての意の疑問である。本巻の第百八十六首では秋が露を訪ねて来たのに対し、本歌では人を訪ねて山里まで来た秋を詠んでいる。
結句「秋の来つらむ」の「つらむ」は、完了の「つ」と現在推量の「らむ」で、来てしまったのだろうかと推し量る。
ことしげし:わずらわしいことが多い
やまざと:山の中の里
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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吹く風の涼しくもあるかおのづから 山の蝉鳴きて秋は来にけり
- 次の歌
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ひとり行く袖より置くか奥山の 苔のとぼその道の夕露