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秋風に夜の更けゆけば久方の
天の河原に月傾きぬ

歌の意味
秋風の吹くなかで夜が更けてゆくと、天の河原に月が傾いてしまった。
鑑賞
秋歌 201

詞書は前の歌に続き「秋の初め月明かかりし夜」
 秋風の吹くなかで夜が更けてゆき、天の河原に月が西へ傾いたことを詠んだ歌である。前歌でかささぎの橋を渡っていた月が、時の移りとともに天の河原の方へ傾き、初秋の夜の深まりを静かに描いている。
 この歌は『新続古今和歌集』に入集している。賀茂真淵はこの歌に二つの合点を付している。

 初句「秋風に」は、秋風の吹くなかでの意である。
 二句「夜の更けゆけば」の「ば」は已然形に付いて、夜が更けてゆくと、という時の流れを示す。
 三句「久方の」は「天」にかかる枕詞である。
 四句「天の河原に」は、本巻の第百九十三首、第百九十四首、第百九十九首に続いて繰り返される句で、七夕の歌々の舞台が本歌では月の沈む場となっている。
 結句「月傾きぬ」の「ぬ」は完了の助動詞で、月が傾いてしまったと言い切る。同じ結句は本巻の第二百三十首、第二百八十二首にも見え、夜の更けを月の傾きで示す句として繰り返される。

かたぶく:月や日が西に沈みかける
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
天の原雲なき宵に久方の 月さへ渡るかささぎの橋
次の歌
眺めやる軒のしのぶの露の間に いたくな更けそ秋の夜の月