野辺に出でてそぼちにけりな唐衣
着つつ分けゆく花の雫に
- 歌の意味
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野辺に出て、すっかり濡れてしまったことだ。衣を着たまま分け入ってゆく、草花の露のしずくに。
- 鑑賞
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秋歌 203
詞書「草花」
秋の野に出て草花の間を分け入るうちに、花に置いた露のしずくで衣がすっかり濡れてしまったと詠んだ歌である。濡れることを嘆くのではなく、秋草の花を分けてゆく楽しさと、露の多い秋の野のみずみずしさが表れている。
類従本では詞書を「草花をよめる」とする。
初句「野辺に出でて」は字余りで、秋の野に出かけての意である。
二句「そぼちにけりな」の「そぼつ」はびっしょり濡れるの意で、「けりな」は詠嘆を表し、ここで句切れとなる。
三句「唐衣」は「着る」にかかる枕詞である。
四句「着つつ分けゆく」の「つつ」は継続で、衣を着たまま草を分けて進んでゆくの意となる。
結句「花の雫に」は、草花に置いた露のしずくにの意で、倒置によって濡れた原因を最後に示す。本巻の第百八十七首で野山に置いた露が、本歌では花の雫として衣を濡らしている。
そぼつ:びっしょりと濡れる
からごろも:中国風の美しい衣。「着る」などにかかる枕詞
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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眺めやる軒のしのぶの露の間に いたくな更けそ秋の夜の月
- 次の歌
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秋萩の下葉もいまだうつろはぬに 今朝吹く風は袂寒しも