見る人もなくて散りにき時雨のみ
ふりにし里の秋萩の花
- 歌の意味
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見る人もないまま散ってしまった。時雨ばかりが降る、古びた里の秋萩の花は。
- 鑑賞
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秋歌 205
詞書は前の歌に続き「萩をよめる」
人が住まなくなった古びた里で、時雨ばかりが降るなか、誰にも見られることなく秋萩の花が散ってしまったと詠んだ歌である。顧みる人のない花のはかなさに、荒れた里の寂しさを重ねている。
初句「見る人も」は、花を見る人もの意で、顧みる人のいない寂しさを示す。
二句「なくて散りにき」の「にき」は完了の「ぬ」と過去の「き」で、散ってしまったと言い切り、ここで句切れとなる。
三句「時雨のみ」は、時雨だけがの意で、人の代わりに時雨だけが訪れるさまを示す。
四句「ふりにし里の」の「ふり」は、時雨が降る意と里が古びる意を掛けた掛詞である。本巻の第二百二十一首にも「ふりにし里」が詠まれる。
結句「秋萩の花」は体言止めで、散った花を最後に示す。前歌の第二百四首では下葉さえ色づかない萩を詠み、本歌ではすでに散った花を詠み、萩の盛りの前と後とが並べられている。
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
ふる:時雨が降る意と、古びる意を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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秋萩の下葉もいまだうつろはぬに 今朝吹く風は袂寒しも
- 次の歌
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花に置く露をしづけみ白菅の 真野の萩原しをれあひにけり