秋風はいたくな吹きそわが宿の
もとあらの小萩散らまくも惜し
- 歌の意味
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秋風よ、ひどく吹いてくれるな。わが家の、根元のまばらな小萩が散ってしまうのが惜しいから。
- 鑑賞
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秋歌 207
詞書「庭萩」
自邸の庭の、根元のまばらな小萩の花が散るのを惜しみ、秋風にひどく吹かないでくれと呼びかけた歌である。か細い萩を気づかう心が、素直な調べで表されている。
類従本では詞書を「庭の萩をよめる」とする。「もとあらの小萩」は、『古今和歌集』のよみ人しらずの「宮城野のもとあらの小萩露を重み風を待つごと君をこそ待て」に見える語である。
初句「秋風は」は、秋風を人のように見立てて呼びかける。
二句「いたくな吹きそ」は、「な…そ」の形で禁止を表し、ひどく吹いてくれるなの意となり、ここで句切れとなる。本巻の第二百二首の「いたくな更けそ」と同じ言い回しで、月に呼びかけた歌に続いて、本歌では風に呼びかけている。
三句「わが宿の」は、自分の家のの意である。
四句「もとあらの小萩」は、根元の葉がまばらな萩をいう。次歌の第二百八首も同じ「もとあらの小萩」を詠み、庭の萩と古里の萩とで二首が対をなしている。
結句「散らまくも惜し」の「まく」は推量の「む」のク語法で、散ることもの意となり、散るのが惜しいと結ぶ。
もとあら:草木の根元の葉がまばらなこと
こはぎ:小さな萩。「こ」は接頭語
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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花に置く露をしづけみ白菅の 真野の萩原しをれあひにけり
- 次の歌
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故郷のもとあらの小萩いたづらに 見る人なしみ咲きか散るらむ