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我のみやわびしとは思ふ花薄
ほに出づる宿の秋の夕暮

歌の意味
私だけがわびしいと思うのだろうか。花すすきが穂を出すように、思いが表に出てしまう、この家の秋の夕暮れを。
鑑賞
秋歌 213

詞書は前の歌に続き「夕べの心をよめる」
 花すすきが穂を出している家の秋の夕暮れを、わびしいと思うのは自分だけなのだろうかと詠んだ歌である。すすきの穂が出るさまに、隠しきれずに表に出てしまう寂しい心を重ね、秋の夕暮れの寂しさを描いている。
 類従本では二句を「わびしと思ふ」とする。底本の注記によれば、貞享本の本文では二句の字句が異なり、校訂者が傍注によって改めたもので、ここではその改訂に従う。

 初句「我のみや」の「や」は疑問の係助詞で、自分だけがと問いかける。
 二句「わびしとは思ふ」は字余りで、「や」の結びの連体形「思ふ」で結び、ここで句切れとなる。
 三句「花薄」は、穂の出たすすきをいう。
 四句「ほに出づる宿の」の「ほ」は、すすきの穂の意と、心の内が表に出る意を掛けた掛詞である。
 結句「秋の夕暮」は体言止めである。前歌の第二百十二首と同じく夕べの物思いを詠み、本巻の第二百四十五首、第二百六十二首、第二百六十三首、第二百六十四首にも同じ結句が繰り返される。

はなすすき:穂の出たすすき
ほ:すすきの穂の意と、心の内が表に出る意を掛ける
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
たそがれに物思ひをればわが宿の 萩の葉そよぎ秋風ぞ吹く
次の歌
夕されば野路の刈萱うちなびき 乱れてのみぞ露も置きける