よそに見て折らでは過ぎじ女郎花
名をむつまじみ露に濡るとも
- 歌の意味
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よそ目に見るだけで、折らずに通り過ぎることはしまい、女郎花よ。その名がなつかしく親しいので、たとえ露に濡れようとも。
- 鑑賞
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秋歌 217
詞書「女郎花」
女郎花を遠くから見ただけで折らずに通り過ぎることはしない、その名がなつかしく親しく思われるので、たとえ露に濡れても手折ろうと詠んだ歌である。「女」の字を含む花の名に心ひかれる、軽い戯れの心が込められている。
女郎花の名に心ひかれる趣向は、『古今和歌集』の僧正遍昭の「名にめでて折れるばかりぞ女郎花我落ちにきと人に語るな」に先例がある。類従本と定家所伝本では二句に異同がある。なお参照した底本の本文では二句に欠字があり、定家所伝本の「をらてはすきし」によって補い、「折らでは過ぎじ」と解した。
初句「よそに見て」は、遠くから見るだけでの意である。
二句「折らでは過ぎじ」の「じ」は打ち消しの意志で、折らずには通り過ぎまいと言い切り、ここで句切れとなる。
三句「女郎花」は、秋の七草の一つで、黄色い小花をつける。花の名に「女」を含むことから、女性に見立てて詠まれることが多い。
四句「名をむつまじみ」は、名が親しく感じられるのでの意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。
結句「露に濡るとも」の「とも」は逆接の仮定で、たとえ露に濡れてもの意となり、倒置によって折る決意の強さを示す。前の二首で藤袴の「主」を問うたのに続き、本歌では花の「名」に心を寄せており、花を人に見立てる趣向が続いている。本巻の第二百四十一首にも鹿の住む野の女郎花が詠まれる。
をみなへし:オミナエシ科の多年草。秋に黄色い小花をつける。秋の七草の一つ
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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秋風になに匂ふらむ藤袴 主は古りにし宿と知らずや
- 次の歌
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白露のあだにも置くか葛の葉に たまれば消えぬ風絶えぬ間に