- 歌の意味
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空を飛ぶ雁の涙なのだろうか。大荒木野の笹の葉の上に置く露は。
- 鑑賞
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秋歌 222
詞書「野辺露」
大荒木野の笹の葉に置く露を、空を飛んで渡ってゆく雁がこぼした涙ではないかと見立てた歌である。地上の露と空の雁とを結びつけ、秋の野の寂しさを雁の悲しみに重ねている。
類従本では詞書を「野辺の露」とする。類従本と定家所伝本では二句の「空」を「天」とし、定家所伝本では結句にも異同がある。雁の涙を露に見立てる趣向は、『古今和歌集』のよみ人しらずの「鳴きわたる雁の涙や落ちつらむ物思ふ宿の萩の上の露」に先例がある。
初句「久方の」は「空」にかかる枕詞である。
二句「空飛ぶ雁の」は、空を渡ってゆく雁のの意で、本巻ではこの後、第二百二十三首から雁の歌が続く。
三句「涙かも」の「かも」は詠嘆を込めた疑問で、涙なのだろうかと問い、ここで句切れとなる。
四句「大荒木野の」は、山城国の歌枕である大荒木の森の野をいう。
結句「笹の上の露」は字余りの体言止めで、倒置によって雁の涙に見立てた露を最後に示す。本巻の第百九十一首では袖の露を自分の涙に見立てたのに対し、本歌では笹の露を雁の涙に見立てている。
おほあらきの:大荒木の森の野。山城国の歌枕
かり:ガンの類の渡り鳥。秋に北から渡ってくる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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鶉鳴く古りにし里の浅茅生に 幾夜の秋の露か置きけむ
- 次の歌
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夕されば稲葉のなびく秋風に 空飛ぶ雁の声も悲しや