- 歌の意味
- 夕方になると、稲葉をなびかせて秋風が吹き、その風のなかを空飛ぶ雁の声も悲しく聞こえることだ。
- 鑑賞
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秋歌 223
詞書「夕雁」
夕方、稲葉をなびかせる秋風のなかを、空を飛んでゆく雁の声までも悲しく聞こえると詠んだ歌である。地上の稲葉の揺れと空の雁の声とを一つの景に収め、秋の夕暮れの寂しさを描いている。
賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「夕されば」は本巻の第百八十二首、第二百十四首と同じ初句で、題の「夕」を表す。
二句「稲葉のなびく」は、実った稲の葉が風になびくさまをいい、田の広がる秋の景を示す。
三句「秋風に」は、秋風の吹くなかにの意である。
四句「空飛ぶ雁の」は前歌の第二百二十二首の二句と同じ句で、前歌で涙をこぼすと見立てた雁を、本歌ではその声で捉えている。
結句「声も悲しや」の「も」は、風の寂しさに加えて雁の声までもの意を添え、「や」は詠嘆を表す。
いなば:稲の葉
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 久方の空飛ぶ雁の涙かも 大荒木野の笹の上の露
- 次の歌
- 雁のゐる門田の稲葉うちそよぎ たそがれ時に秋風ぞ吹く