天の原ふり放け見ればます鏡
清き月夜に雁鳴きわたる
- 歌の意味
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大空をふり仰いで遠く見やると、澄んだ鏡のように清らかな月夜に、雁が鳴きながら渡ってゆく。
- 鑑賞
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秋歌 229
詞書は前の歌に続き「月前雁」
大空をふり仰ぐと、澄んだ鏡のように清らかな月夜の空を、雁が鳴きながら渡ってゆくと詠んだ歌である。万葉調の大らかな調べで、月と雁の取り合わせを清澄な夜空の景として描いている。
賀茂真淵はこの歌に二つの合点を付している。上句は、『古今和歌集』の安倍仲麿の「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」と同じ句で始まる。なお底本ではこの歌の番号が「二三九」と誤記されているが、配列から第二百二十九首にあたる。
初句「天の原」は大空をいう。本巻の第二百首、第二百七十一首も同じ初句で始まる。
二句「ふり放け見れば」は、ふり仰いで遠くを見ると、の意である。本巻の第二百七十一首も同じ初句と二句で始まり、二首が夜空の月を詠む。
三句「ます鏡」は、よく澄んだ鏡のことで、「清き」にかかる枕詞である。
四句「清き月夜に」は、清らかに澄んだ月夜にの意である。
結句「雁鳴きわたる」は、雁が鳴きながら空を渡ってゆくの意で、終止形で言い切る。本巻の第二百二十七首の初句「鳴きわたる」と同じ語で、月前雁の一連を貫いている。
ふりさく:ふり仰いで遠くを見る
ますかがみ:よく澄んだ鏡。「清し」などにかかる枕詞
つくよ:月夜
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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天の戸をあけがたの空に鳴く雁の 翼の露に宿る月影
- 次の歌
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ぬばたまの夜は更けぬらし雁がねの 聞こゆる空に月傾きぬ