月をのみあはれと思ふさ夜更けて
深山隠れに鹿ぞ鳴くなる
- 歌の意味
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月だけをしみじみと趣深いと思って眺めていた夜が更けて、深い山の奥に隠れて鹿が鳴いているようだ。
- 鑑賞
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秋歌 238
詞書は前の歌に続き「鹿の歌に」
月ばかりをしみじみと眺めていた夜が更けて、深い山の奥から鹿の鳴く声が聞こえてきたと詠んだ歌である。月だけに向けていた心が、思いがけない鹿の声によって、秋の夜のもう一つのあわれへと引き寄せられている。
類従本と定家所伝本では二句に異同がある。なお参照した底本の本文では二句と三句に欠字があり、定家所伝本の「あはれとおもふ」「さよふけて」によって補った。
初句「月をのみ」の「のみ」は限定で、月ばかりをの意となる。
二句「あはれと思ふ」は、しみじみと趣深く思うの意で、月を眺める作者の心を示す。
三句「さ夜更けて」の「さ」は接頭語で、夜が更けての意である。
四句「深山隠れに」は、深い山の奥に隠れての意で、鹿の姿は見えず声だけが聞こえる。
結句「鹿ぞ鳴くなる」は前の二首と同じ結句で、係助詞「ぞ」を受けて推定の「なる」で結ぶ。前の三首が霧の中の鹿を詠んだのに対し、本歌では月夜の鹿を詠み、霧と月とで鹿の歌の趣を変えている。
みやまがくれ:深い山の奥に隠れていること
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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雲のゐる梢はるかに霧こめて たかしの山に鹿ぞ鳴くなる
- 次の歌
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さ夜更くるままに外山の木の間より 誘ふか月をひとり鳴く鹿