さ夜更くるままに外山の木の間より
誘ふか月をひとり鳴く鹿
- 歌の意味
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夜が更けてゆくにつれて、人里近い山の木の間から、月を誘っているのだろうか、ひとり鳴く鹿よ。
- 鑑賞
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秋歌 239
詞書は前の歌に続き「鹿の歌に」
夜が更けてゆくにつれ、人里近い山の木の間から、まるで月を誘うかのようにひとりで鳴いている鹿を詠んだ歌である。妻を呼ぶ鹿の声を、月を誘う声と聞きなした趣向で、月夜の鹿の孤独を描いている。
類従本では四句に異同がある。底本の注記によれば、原本の四句は字句が異なり、校訂者が類従本によって改めたもので、ここではその改訂に従う。なお参照した底本の本文では三句と四句に欠字があり、定家所伝本の「このまより」「さそふかつきを」によって補った。
初句「さ夜更くる」の「さ」は接頭語で、夜が更けてゆくの意である。前歌の第二百三十八首の「さ夜更けて」を受けている。
二句「ままに外山の」の「ままに」は、…につれての意で、「外山」は人里近い山をいう。前歌の「深山」に対し、本歌では「外山」を詠み、深い山と里近い山とで二首が対をなしている。
三句「木の間より」は、木々の間からの意である。
四句「誘ふか月を」の「か」は疑問で、鹿の声が月を誘っているのかと問い、ここで句切れとなる。
結句「ひとり鳴く鹿」は体言止めで、ひとり鳴く鹿を最後に示し、倒置によって問いの主を明かす。
とやま:人里近くの山
このま:木と木の間
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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月をのみあはれと思ふさ夜更けて 深山隠れに鹿ぞ鳴くなる
- 次の歌
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朝まだき小野の露霜寒ければ 秋をつらしと鹿ぞ鳴くなる