さを鹿の己が住む野の女郎花
花に飽かずと音をや鳴くらむ
- 歌の意味
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牡鹿は、自分の住む野の女郎花の花をいくら見ても見飽きないと、声をあげて鳴いているのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 241
詞書は前の歌に続き「鹿の歌に」
牡鹿が自分の住む野に咲く女郎花をいくら見ても見飽きないと、声をあげて鳴いているのだろうかと思いやった歌である。妻を恋う鹿の声を、花に心ひかれて鳴く声と聞きなし、鹿と女郎花の取り合わせを優美に描いている。
なお参照した底本の本文では結句に欠字があり、定家所伝本の「ねをやなくらむ」によって補った。
初句「さを鹿の」の「さ」は接頭語で、牡鹿をいう。
二句「己が住む野の」は、自分の住んでいる野のの意である。
三句「女郎花」は、本巻の第二百十七首で作者が名に心ひかれた花で、本歌では鹿がその花に心を寄せている。女郎花は女性に見立てられる花で、妻を恋う鹿の思いと響き合う。
四句「花に飽かずと」は、花に見飽きないとの意である。
結句「音をや鳴くらむ」の「や」は疑問の係助詞で、現在推量の「らむ」の連体形で結び、声をあげて鳴いているのだろうかと推し量る。
さをしか:牡鹿。「さ」は接頭語
をみなへし:オミナエシ科の多年草。秋に黄色い小花をつける。秋の七草の一つ
ね:声、鳴き声
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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朝まだき小野の露霜寒ければ 秋をつらしと鹿ぞ鳴くなる
- 次の歌
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萩が花うつろひて行けば高砂の 尾上の鹿の鳴かぬ日ぞなき