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山田守る庵にしをれば朝な朝な
絶えず聞きつるさを鹿の声

歌の意味
山の田の番をする仮小屋にいると、毎朝毎朝、絶えず聞こえてきた牡鹿の声よ。
鑑賞
秋歌 246

詞書「田家秋」
 山の田を守るための仮小屋に住んでいると、毎朝欠かさず牡鹿の声が聞こえてきたと詠んだ歌である。田を荒らす鹿を見張る山田の番小屋の暮らしを思い描き、鹿の声に包まれた山里の秋を描いている。
 類従本では詞書を「田家秋といふことを」とする。

 初句「山田守る」は、山あいの田を鳥獣から守るの意である。本巻の第二百六十二首にも「山田守る庵」が詠まれる。
 二句「庵にしをれば」の「し」は強意の副助詞で、仮小屋にいるとの意となる。
 三句「朝な朝な」は、毎朝毎朝の意で、字余りとなる。本巻の第二百四十三首の初句と同じ語である。
 四句「絶えず聞きつる」の「つる」は完了の助動詞の連体形で、絶えず聞いてきたの意となる。
 結句「さを鹿の声」は体言止めで、聞こえてきた声を最後に示す。前の鹿の一連を受けつつ、本歌では題の「田家」の暮らしの中で鹿の声を聞いている。

やまだ:山あいにある田
もる:番をする、守る
いほ:草木で造った粗末な仮小屋
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
鳴く鹿の声より袖に置くか露 もの思ふころの秋の夕暮
次の歌
唐衣稲葉の露に袖濡れて 物思へともなれる我が身か