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庭草の露の数そふ村雨に
夜深き虫の声ぞ悲しき

歌の意味
庭の草に置く露の数が増してゆくにわか雨のなかで、夜更けに鳴く虫の声が悲しく聞こえる。
鑑賞
秋歌 249

詞書は前の歌に続き「虫」
 庭の草に置く露の数をいっそう増やすにわか雨が降るなか、夜更けに鳴く虫の声が悲しく聞こえると詠んだ歌である。雨のしずくと露、そして虫の声とが重なり、秋の夜の寂しさを深めている。

 初句「庭草の」は、庭に生えている草のの意である。
 二句「露の数そふ」は、露の数が増すの意である。
 三句「村雨に」は、ひとしきり降ってはやむにわか雨にの意である。
 四句「夜深き虫の」は、夜更けに鳴く虫のの意である。前歌の第二百四十八首の「夜半」を受け、夜の虫を続けて詠む。
 結句「声ぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「悲しき」で結ぶ。前歌では秋風の寒さに鳴く虫を、本歌では村雨の中の虫を詠み、風と雨とで二首が対をなしている。

むらさめ:ひとしきり強く降ってはやむ雨、にわか雨
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
小笹原夜半に露吹く秋風を ややさむしとや虫の鳴くらむ
次の歌
頼めこし人だに訪はぬ故郷に 誰まつ虫の夜半に鳴くらむ