秋深く露寒き夜のきりぎりす
ただいたづらに音をのみぞ鳴く
- 歌の意味
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秋が深まり、露の寒い夜のこおろぎは、ただむなしく声をあげて鳴くばかりである。
- 鑑賞
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秋歌 251
詞書「蟋蟀」
秋が深まり露の冷たい夜に、こおろぎがただむなしく声をあげて鳴くばかりであると詠んだ歌である。誰に届くこともなく鳴き続ける虫の声に、深まる秋の寂しさを聞き取っている。
賀茂真淵はこの歌に合点を付し、題の「蟋蟀」について、『万葉集』では「こほろぎ」と読む字であるのに、早くから誤って「きりぎりす」と読むようになったと評している。類従本では初句と二句を「秋深み露寒きとや」とし、定家所伝本では初句を「秋深み」とする。なお参照した底本の本文では初句と結句に欠字があり、初句は字数と語の続きから「秋深く」と解し、結句は入力者の注記に従って「のぞみ」を「のみぞ」の誤りと見て、定家所伝本の「ねをのみそなく」によって補った。
初句「秋深く」は、秋が深まっての意である。
二句「露寒き夜の」は、露が冷たく置く夜のの意である。
三句「きりぎりす」は、今のこおろぎのことである。本歌から第二百五十六首まで、きりぎりすを詠む歌が続く。
四句「ただいたづらに」は、ただむなしく、かいもなくの意である。
結句「音をのみぞ鳴く」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「鳴く」で結び、声をあげて鳴くばかりであると言う。次歌の第二百五十二首も「秋深き夜」のきりぎりすを詠み、二首が並んでいる。
きりぎりす:今のこおろぎ
ね:声、鳴き声
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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頼めこし人だに訪はぬ故郷に 誰まつ虫の夜半に鳴くらむ
- 次の歌
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浅茅原露しげき庭のきりぎりす 秋深き夜の月に鳴くなり