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浅茅原露しげき庭のきりぎりす
秋深き夜の月に鳴くなり

歌の意味
浅茅が生い茂って露の多い庭のこおろぎが、秋の深まった夜の月の光のもとで鳴いているようだ。
鑑賞
秋歌 252

詞書は前の歌に続き「蟋蟀」
 浅茅の生い茂って荒れ、露がしとどに置く庭で、秋の深まった夜の月の光のもと、こおろぎが鳴いているのを聞いた歌である。荒れた庭と月と虫の声とで、深秋の夜の寂しさと清らかさとを描いている。

 初句「浅茅原」は、丈の低い茅が生い茂った原をいい、荒れた庭のさまを示す。
 二句「露しげき庭の」は字余りで、露が多く置く庭のの意である。
 三句「きりぎりす」は前歌の第二百五十一首の三句と同じ語である。
 四句「秋深き夜の」は、前歌の「秋深く露寒き夜の」を受け、秋の深まった夜を示す。
 結句「月に鳴くなり」の「なり」は音による推定で、月光の中で鳴く声を感じ取っている。前歌が露の寒い夜のこおろぎを詠んだのに対し、本歌では月夜のこおろぎを詠み、次歌の第二百五十三首の「月の都のきりぎりす」へと続いている。

あさぢはら:丈の低い茅が生い茂った原
きりぎりす:今のこおろぎ
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
秋深く露寒き夜のきりぎりす ただいたづらに音をのみぞ鳴く
次の歌
秋の夜の月の都のきりぎりす 鳴くは昔の影や恋しき