きりぎりす鳴く夕暮の秋風に
我さへあやな物ぞ悲しき
- 歌の意味
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こおろぎの鳴く夕暮れの秋風に、虫ばかりか私までもが、わけもなくもの悲しい。
- 鑑賞
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秋歌 254
詞書は前の歌に続き「蟋蟀」
こおろぎの鳴く夕暮れに秋風が吹くと、虫だけでなく自分までもが、わけもなくもの悲しくなると詠んだ歌である。虫の声と秋風に誘われて、理由のない悲しみが心に満ちてくるさまを素直に表している。
初句「きりぎりす」は、前の三首から続くこおろぎで、本歌では初句に据えられている。
二句「鳴く夕暮の」は、こおろぎの鳴く夕暮れのの意である。前の三首が夜のこおろぎを詠んだのに対し、本歌では夕暮れのこおろぎを詠んでいる。
三句「秋風に」は、秋風が吹くなかにの意である。
四句「我さへあやな」の「さへ」は添加で、虫ばかりか自分までもの意となり、「あやな」は、わけもなくの意である。本巻の第二百十九首にも「あやな」の語が詠まれる。
結句「物ぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「悲しき」で結ぶ。本巻の第二百四十九首の「声ぞ悲しき」に対し、本歌では作者自身の悲しみを詠み、虫の声の悲しさが聞く者の悲しさへと移っている。
きりぎりす:今のこおろぎ
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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秋の夜の月の都のきりぎりす 鳴くは昔の影や恋しき
- 次の歌
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きりぎりす夜半の衣の薄き上に いたくは霜の置かずもあらなむ